TEXT:荒金良介
── 二人の考えてることが近かったんですね。
マサあと、お互いにキーポイントとして、『DEVILOCK NIGHT』のビデオが出た時は衝撃的でしたね。多感で血気盛んな時期に新幹線で東名阪ツアーして、いい意味で身内ノリを発信してたじゃないですか。凄いなと。『This is Video Devilock』という97年に出たものですね。
ヨッキ3000本限定ぐらいだった気がする。即完したんじゃないかな。すぐにプレミアが付いたんですよ。
マサレーベル「1138」から出てたんですよ。当時GMFが「1138」にいましたからね。で、遠藤さんがまとめていたから。それこそ、『AIR JAM』世代のバンドはほぼ全員出てるぐらいのノリで。
── どうやって手に入れたんですか?
ヨッキ普通に買いました。毎日レコード屋に行ってたから、新しいものが出たらすぐ買ってましたからね。
マサ俺は静岡の田舎で、これがラスト1本と言われて買いました。擦り切れるぐらい観ましたね。俺は後に「1138」に入ったから、封を開けてないものを保存用に持ってます。VHSですけどね(笑)。
ヨッキ俺はDVDにして、今でもたまに観ますもん。
マサあれは今のライヴDVDにも影響を与えている部分があるんじゃないですかね。オフショットもそこそこ入ってるし。
ヨッキ裏側を劇的に見せてたもんね。
マサしかもあれだけのムーブメントだった時の裏側ですからね。客はステージしか見えないけど、楽屋でこのバンドとこのバンドがジャレてるんだって。そんな他愛もないことも僕らにはすごく新鮮で、いままで観たビデオの中でもトップ3に入りますね。
── 絶賛ですね(笑)。
ヨッキ大人になったらわかるけど、当時はインディーズだったのでレーベルの壁も越えやすかったんですよ。今はインディーズでも厳しいですからね。
マサまだカルチャーから来たインディーズの臭いがプンプンしていた頃だったから。楽しかったらOK!みたいな雰囲気もあったし。
ヨッキ規制がなかったから生まれた産物というか、衝撃的でしたね。
── ヨッキさんはどこが衝撃的でした?
ヨッキビデオを観て、リンクした部分があるんですよ。70年代のSEX PISTOLSが一台のバスを借りて、みんなでツアーを回ってるブート・ビデオがあって。バスも勝手にペイントして、これ絶対に次は使えないだろって(笑)。世界はすげえなって。『DEVILOCK』もみんなで団体行動して、東京駅から新幹線のグリーン車に乗って、大阪のベイサイドジェニーに着くみたいな。
マサ東京駅にみんなで遠足みたいに集まってるんですよ。それがワクワクするんですよ! こういうの楽しいだろうなって。で、駅の階段もみんなでぞろぞろと降りて・・・やべえ、かっけえなと。
── 20代前半の若者にはたまらないですね。
マサ俺はそれを観たのが20歳だし、ヨッキは23歳ぐらいですからね。
ヨッキ当時僕はバンドをやっていたけど、2、3世代パイセンなわけですよ。でもそのブームがあったから、自分たちの活動してるシーンも盛り上がってるところがあったし。俺らの世代でも、ああいうものを作らなきゃダメだなって。
マサそういう話はしてましたね。上の世代は憧れだったけど、一番触りたい時期にもっとも手が届かない、雲の上みたいな存在だったから。自分たちでやるしかないよねって。
ヨッキそう考えると、夢を叶えられた部分はありますね。昨年開催した時に「カリスマ枠」をわざと作ったんですよ。俺らからする雲の上の存在として、RADIOTS、NAMBA69、COKEHEAD HIPSTERS、BACK DROP BOMBに出てもらえましたからね。俺たちのイベントであの人たちがライヴをやってる。それだけで嬉しかったですね。はじめた頃だったら、絶対この人たち出てくれなかっただろうなって(笑)。
マサしかも俺らの世代からすると、憧れのオールナイトのクラブチッタの場にあの人たちがいる。90'sリバイバルというか、勝手に興奮してました。
ヨッキ『DEVILOCK』のイベントはオールナイトだったんですよ。
マサ一番ミニマムでやっていた頃ですね。東京はクラブチッタ、名古屋はダイアモンドホール、大阪はベイサイドジェニーの3カ所で、あれは凄かったですね。だから、俺らも同じ会場でやるのが夢でした。
── 『DEVILOCK』をある意味継承してると言えます?
ヨッキ継承というより、影響を受けまくってます。各時代ごとにそういうものがあったのかなと。俺が高校の時だから、80年代後半から90年代前半、Hi-STANDARDが出るちょっと前かな。THE RYDERSが『アナーキーツアー』と言って、一台のバスで全国を回ったりとか。THE STAR CLUBも同じく『傷だらけの天使達』というイベントをやって、観に行ってましたからね。ただ、その裏側までは知らなくて。『DEVILOCK』のビデオを観るまではそういう衝撃はなかったんですよ。